秋シーズンはAppleの新製品発表をはじめ新作ガジェットがバンバン発売される時期で、ガジェットブロガー的には繁忙期。
もちろんワイヤレスイヤホン界隈も新発売ラッシュなんだけど、2023年1月発売のコスパ最強機であるEarFun Air Pro 3を発売したEarFunからも新作イヤホンが出た。
その名もEarFun Free Pro 3。特徴はワイヤレスイヤホンで考えうる便利機能をほとんどすべて対応しながらも、小型のイヤホン・ケースに凝縮し、EarFunらしくお値段も実売8,000円と安いこと。
23年10月でも今年の傑作機と名高いAir Pro 3を発売したEarFunの新作となればレビューしないわけにはいかない。
というわけで発売前に製品を送ってもらったので、頂き物ではあるが手心を加えずにクッソ正直にレビューしていく。
なお結論からいうと、ノイズキャンセリング性能と音の迫力はAir Pro 3にやや劣るものの、ボディ・ケースが小型で装着感も持ち運びもしやすく、その上マルチポイント・ワイヤレス充電にも対応している総合点が高いイヤホンだった。
- 聞き疲れしにくい音質
- イコライザーの自由度が高い
- ボディとケースが小型で装着感・携帯性良好
- 専用アプリのカスタマイズ性が高い
- ノイキャン、マルチポイント、ワイヤレス充電対応
- 実売8,000円と安い
- 音質は価格相応
- ノイキャンはそこまで強くない
イッセイです。もやっています。お問い合わせは Twitterこちら。
EarFun Free Pro 3のスペック
EarFun Free Pro 3は2023年10月に発売された、1万円以下の低価格帯イヤホンでいまトップクラスに勢いのあるメーカー“EarFun”の新作フラッグシップイヤホン。
EarFunは2023年1月に俺も過去にレビューをしたEarFun Air Pro 3という傑作機を発売しており、1年経たずにフラッグシップ急を出してくるとは思わなかった。
というわけで、新作EarFun Free Pro 3の性能がどんなもんかまずはスペックを見ていく。なお、比較対象はEarFunの傑作機EarFun Air Pro 3にした。
商品名 | EarFun Free Pro 3 | EarFun Air Pro 3 |
カラー | ●ブラウンブラック ●シルバーホワイト ●ネイビーブルー | ●ブラック ●オフホワイト ●ネイビー ●ピンク |
タイプ | カナル型 | カナル型 |
ドライバー | ダイナミック型×1 (7mm径) | ダイナミック型×1 (11mm径) |
音の傾向 | ドンシャリ | ドンシャリ |
ケースサイズ (縦×横×奥行) | 30mm x 67mm x 26mm | 31mm x 60mm x 50mm |
バッテリー (ノイキャンON) | 6時間 (イヤホン本体) 33時間 (ケース込み) | 7時間 (イヤホン本体) 45時間 (ケース込み) |
重量 | イヤホン片耳:5.0g ケース込み:41.5g | イヤホン片耳:5.2g ケース込み:52g |
ノイズキャンセリング | あり | あり |
外音取り込み | あり | あり |
マルチポイント | あり | あり |
装着検知 | なし | なし |
ワイヤレス充電 | あり | あり |
防水 | IPX5 (強めの雨) | IPX5 (強めの雨) |
対応コーデック | aptX Adaptive LC3 / SBC / AAC | aptX Adaptive LC3 / SBC / AAC |
低遅延モード | あり | あり |
特色 | ・安くて全部入り ・本体、ケースがコンパクト ・タッチ操作がやりやすい | ・安くて全部入り ・低音よりでノリはいいけど 、音質まずまず |
amazonの星 (小数点は二捨三入) | (4.3 / 5) | (4.3 / 5) |
定価(税込) | 9,480円 | 8,990円 |
販売サイト |
Amazon
楽天 Yahoo クチコミ |
Amazon
楽天 Yahoo クチコミ |
新作EarFun Free Pro 3と傑作機EarFun Air Pro 3を比べても、搭載されている機能はまったく同じ。
かろうじてスペックから読み取れる違いは以下の2点。
- EarFun Free Pro 3のケースサイズはかなり小型・軽量化された
- EarFun Free Pro 3のドライバー(スピーカー)径は4mmサイズダウン
メリットでも触れるけど、ケースは小型化したおかげでポケットに入れても違和感が少なく小型の恩恵はデカい。
またドライバー径はサイズダウンした影響で暴力的な低音量からくる迫力が薄まっているものの、万人ウケしやすい音になっており人によってはメリットになると感じた。
というわけでこの先は、見た目や実際の使用感をレビューしていく。
EarFun Free Pro 3の外観
まずはEarFun Free Pro 3の外観を見ていく。EarFun Free Pro 3のイヤホンはこれで3台目だけど、いつもと同じブランドカラーの黄色をあしらったデザイン。キレイ。
内容物は本体とケース、イヤーピース、USB-Cケーブル、説明書といったベーシックなものが揃う。あと特筆すべき同梱物として、耳に入れた時の装着感をアップさせるイヤーサポーターのサイズ違いと、珍しいことにウレタンチップのイヤーピースが付属する。
ウレタンイヤーピースは1サイズしかないけど、これを使うと遮音性が増す。
これがケース正面。あとで他機種との比較も出すんだけどかなりコンパクト。
ケーストップには「earfun」とロゴの印字がされている。質感は悪くない。
ケース下部には様々な規格の表記あり。
ケースは細い直方体。コンビニで売っている羊羹みたいなサイズ感。ケースの外側にボタンは一切なく、ケースの裏面にUSB-Cポートがある。
ちなみに充電はUSB-Cだけでなくワイヤレス充電にも対応している。
ケースを開けるとこんな感じ。イヤホンとイヤホンの間にペアリング用のボタンがついている。
イヤホンを取るとこんな感じ。イヤホンの取り出しやすさは良好。
俺の写真の色味の問題だけど実際のケースはもっとブラック。イヤホン本体はこの写真みたいにグレー味が強い色をしている。
メタリックっぽい仕上げの側面はタッチセンサーになっており、見た目はそこそこいい。
こちらは耳に当たる面。イヤーピースの根元には耳垢フィルターがついていないので、掃除をサボるタイプの人は注意。あと気のせいかもしれないけど、耳に当たる面はツルツル仕上げよりもEarFun Free Pro 3のようなサラサラ仕上げの方が付け心地がいい……気がする。
ちなみに装着感をアップさせるイヤーフィットサポーターは変更可能。S / M / Lサイズが付属しているので、好みに合わせて変えられる。
手持ちのサイズ感はこんな感じ。伝わりにくいだろうけど、ケースもイヤホン本体もコンパクトで携帯性はかなり高い。
というわけで他機種との比較は以下。ちなみに比較には同じEarFunの傑作機EarFun Air Pro 3とみんな大好きAirPods Proを選んだ。
EarFun Air Pro 3と比べるとサイズは一目瞭然。全てのサイズにおいて新作EarFun Free Pro 3の方が小さい。Air Pro 3をズボンのポケットに入れて持ち運ぶと結構違和感があったんだけど、Free Pro 3ではそれが無くなった。
ワイヤレスイヤホン界でトップクラスにイヤホン本体・ケースサイズが小さいAirPods Proに比べても、厚みの違いはあれど同等かそれ以上に小さい。このボディサイズはそれだけで魅力的。
そんな小さいボディにどれほどの性能を秘めているかはこの先で解説していく。
EarFun Free Pro 3のメリット
EarFun Free Pro 3はノイズキャンセリング、マルチポイント、ワイヤレス充電などワイヤレスイヤホンで考えられる便利機能はすべて搭載しつつも、ボディ・ケースは小型設計。
にもかかわらずお値段は実売8,000円とかなりのコスパを誇る。そんなEarFun Free Pro 3の強みは以下。
ひとことで言うと、ハード・ソフト両面のいいところが噛み合い、相乗効果によりとても使いやすい出来になっている。というわけでそれぞれのメリットを詳しく解説していく。
控えめなドンシャリで聴き疲れしにくい&イコライザーの自由度が高い
EarFun Free Pro 3をスペック比較もした先輩機種EarFun Air Pro 3と比べてまず思ったのが、音の傾向がだいぶ大人しくなったこと。
大人しくなったのはもちろん音の調整がデカイだろうけど、EarFun Air Pro 3のドライバー径11mmと比べて約35%小さい7mmなのも要因と思われる。
なのでAir Pro 3にあった低音の迫力はハッキリいうと少し減った。ただAir Pro 3の低音はマジで量がすごかったので、好き嫌いがわかれる音だったのも事実。
Free Pro 3は迫力と引き換えに聴き疲れしないサウンドになったので、長時間使用を前提にするのであればこれはこれでアリだし、低音がほしい人はイコライザでもっと強調することもできる。
これがEarFun公式アプリのイコライザー設定画面なんだけど、イジれる音域が5つしかないイヤホンも多い中でまさかの10バンド調整可能。自由度は高いので設定次第で自分好みの音に持っていける。
もちろん自分好みのカスタマイズは保存しておくこともできるしプリセットも全ジャンルで用意されており、なんなら海外の有名ガジェットYouTubeとやらが作ったイコライザも選べる。
聴き疲れしないデフォルト設定で聴くもよし、尖った音作りにして楽しむもよし。自分好みに使えるのはいい。
小型ボディ・ケースで装着感良好、持ち運びもしやすい
EarFun Free Pro 3を箱から出した瞬間に感動したのが、ケースと本体のコンパクトさ。ケースは徹底的にムダを排除して小型化をしているし、イヤホン本体もAirPodsみたいなうどん部分がないので必要最低限の小ささ。
そのおかげで日常使いする時に装着感もいいし、携帯性も最高。
と文章で書いてもわかりにくいだろうから、百聞は一見に如かず。外観紹介でも出した以下の画像を見てほしい。
まずはケースなんだけど、トップクラスに小さいAirPods Proと比較してもなかなか小さい。EarFun Air Pro 3と比べたものは大人と子供レベルの差がある。
俺はイヤホンを持ち運ぶ時はズボンのポケットに入れてるんだけど、ケースが大きいとポケットがもっこりしてカッコ悪いのはもちろん、単純にポケットに物が入っている感覚があまり好きじゃない。
だけど、EarFun Free Pro 3ならポケットに入れても邪魔になることはなく、快適に持ち運べるのがいい。
形状が違うので単純比較しにくいが、イヤホン本体もなかなか小さい。サイズが大きいイヤホンを長時間装着していると、耳と接触している部分がだんだん痛くなってきたりするけど俺が使っている限りそういうことはない。
2023年はSONYのフラッグシップであるWF-1000XM5も小型が路線に振ったし、今後は小型化トレンドになるんだろうなと個人的に予想している。
コンパクトなイヤホンがほしい人にはぜひオススメしたい。
専用アプリのカスタマイズ性が高く、タッチ操作が捗る
これは地味に大事なポイントなんだけど、EarFun Free Pro 3のタッチ操作はかなりイケてる作りでストレスがない。
その理由はタッチ面が広いっていうのもあるけど、EarFun公式専用アプリのカスタマイズ性が高いことにある。左右で違う操作にできるのはもちろんのこと、割り当て変更できないアクションがないのでマジで自由自在。
中でも俺がとくに気に入っているのが、ノイズキャンセリングの切り替え時にノーマルモードをスキップできること。
これが専用アプリの設定画面なんだけど、ノーマルモードのチェックを外すことでノイキャンと外音取込みの切り替えが一発でできる。
意外なことにこの設定ができないクソイヤホンも多く、その場合はモード切り替えのたびにムダな長押し1.5秒が発生するので地味にストレス。
EarFunはさすが勢いのあるメーカーだけあって、よく考えて設計しているなと感心した。ぜひ他のメーカーも見習ってほしい。
ノイキャン、マルチポイント、ワイヤレス充電の3大便利機能を搭載
いまどきの完全ワイヤレスイヤホンにノイズキャンセリング機能がついているのは当たり前で、「初めて聞きました」なんて人はいないレベル。それどころか複数デバイス利用時に便利なマルチポイントや、ワイヤレス充電に対応も徐々に一般化してきた。
とはいいつつも1万円以下のイヤホンではこの3つのどれかが欠けていることも多いんだけど、EarFun Free Pro 3はすべてをしっかり搭載してきている。
そのおかげで日常使いで細かいところでストレスが少ないのが嬉しい。
マルチポイントとは2台のデバイスに「同時接続」できる機能。
デバイスAと接続中にデバイスBで音楽再生したい時は、デバイスBの再生ボタンを押すと接続先が自動で変わる。つまり接続先を手動で切り替える一手間がなくなる。
また、デバイスAで音楽再生中に、デバイスBに着信があった場合もデバイスBに接続先が自動で変わる。
スマホ1台でしか使わない人には関係ないけど、スマホ+パソコンとかスマホ2台持ちする人にとって、マルチポイントは必須の機能。実際、俺は以下のような場面でシームレスの良さを実感している。
- パソコンで音楽を聴きながら作業中に、スマホにきた電話をそのまま取る
- スマホで音楽を聴きながら通勤し、会社についたらパソコンでオンライン朝礼
- パソコンで音楽を聴きながら仕事をして、昼休みになったらスマホでYouTube再生
こう見るとちょっとしたことだけど、日常の動作だからこそシームレスになったときのストレスのなさがデカい。もはや一度マルチポイントに慣れると、接続先をいちいち切り替えをするとか考えられないレベル。
複数デバイスを使う人は絶対にマルチポイント付きのイヤホンにした方がいい。少なくとも俺はもうマルチポイントのないイヤホンは選ばない。
そしてEarFun Free Pro 3でもう一つ嬉しいのが、ワイヤレス充電に対応していること。これはマルチポイントに比べれば地味な機能なんだけど、自分の生活動線にワイヤレス充電器を配置することで画像のように煩わしい「有線充電」という概念から解放される。これが便利。
たとえば俺は自宅と職場それぞれにワイヤレス充電器を配置して、イヤホンやスマホは置くだけで充電ができる環境を整えている。そういった環境整備さえすればデバイスを決まった場所におけば持ち出す時はいつもフル充電で使えるのがめちゃくちゃいい。
これだけモリモリで実売約8,000円
EarFun Free Pro 3は装着感・携帯性がよく、ノイキャン・マルチポイント・ワイヤレス充電に対応。その上、アプリの設定項目も多くハード・ソフト両面でとにかく使い勝手がいいというのはここまで力説してきた。
となると気になるのがお値段だけど、EarFun Free Pro 3の価格は定価9,480円、実売なら約8,000円。いまのワイヤレスイヤホン市場で考えられる機能は装着検知以外すべてついてこれは安い。
ワイヤレスイヤホンは全体の値段向上と為替レートの問題でとにかくインフレが激しく、ミドルクラスは2万円台、ハイエンドは4万円とかもはや当たり前。そんな中で1万円以下をキープしているEarFunには感謝。
EarFun Free Pro 3のデメリット
EarFun Free Pro 3の総合的な完成度は高いと思うんだけど、使い込んでみるともうちょっと頑張ってほしかった所もある。
そんな改善してほしいところは以下。
他の機能が良かっただけに、これらのデメリットがなければ2023年の低価格帯で覇権を握っていたかもしれないとマジで思った。そんなデメリットの詳細を解説していく。
音質は価格相応
メリットでも触れたとおりEarFun Free Pro 3は聴き疲れしない音質とイコライザーの自由度が魅力なんだけど、音質は価格相応で至って普通。期待は厳禁。
音の「傾向」という意味ではイコライザーの自由度がめちゃくちゃ高いので好きにカスタマイズができる。が、EDMが好きだからと低音マシマシにしてもBOSEのような良質な低音で聴くことはできないし、いくら高音を高めてもTechnics EAH-AZ80のような解像度・分離感のある音でクラシックを視聴することもできない。
イコライザーはあくまで音の傾向を変えるものであって、音質の壁を越えることはないんだなと改めて思った。
この音質と機能で実売8,000円と考えれば十分安いが、音質を重視したい人はやめておいた方が吉。ちなみにもし音質に振り切った安い完全ワイヤレスを探しているなら、SOUNDPEATS Engine 4がここ1年ではダントツでおすすめする。
ノイキャンはそこまで強くない
EarFun Free Pro 3のノイズキャンセリングは-43dbを謳ってはいるんだけど、ぶっちゃけていうとそこまで強く効かない。点数でいうと60点くらいのイメージ。
耳栓がわりにノイキャンONにして音楽を流さない状態でカフェや電車で使ってみると、わりと話し声とかアナウンスが聞こえるレベル。いままでの「この値段でこのノイキャン性能でいの?」みたいな感動はもうない。
なんなら、9ヶ月先に発売されたEarFun Air Pro 3の方がノイキャン性能は上。ラインナップが若干違うとはいえ、同じ会社の同価格帯製品にもかかわらずまさかの性能ダウンしているのは残念だった。
それをEarFunも認識しているのかは知らんけど、Free Pro 3にはシリコンよりも遮音性に優れるウレタンフォームチップが付属しており、これを使えば最終的にはAir Pro 3と同じくらいの外音カット性能にはなる。
ウレタンOKな人は活用すればいいけど、個人的にはイヤホンを装着するたびにウレタンを潰すのが面倒なのだし、そもそもウレタンの圧迫感が好みじゃない。
というわけで、シリコンチップ派の人はノイキャン性能には期待しないほうがいい。
まとめ:実売8,000円でハイエンドに迫る出来栄え
ここまでEarFun Free Pro 3のメリット・デメリットを見てきた。改めてまとめると以下のとおり。
EarFun Free Pro 3は正直、EarFun Air Pro 3に比べるとノイズキャンセリングの効き目が若干弱かったり、音作りが迫力重視から引き締まった方向性にシフトしている。なので、音楽の視聴体験を最優先にしたい人はEarFun Air Pro 3の方がオススメできる。
が、EarFun Free Pro 3が劣化版Air Pro 3かというと全然そんなことはない。
音は長時間聞いても聴き疲れしにくくなったし、ノイズキャンセリング、マルチポイント、ワイヤレス充電、装着検知機能など考えうる便利機能はすべて対応している上に、ボディがとにかく小さく装着感と携帯性が良好。
そして極めつけに安い。
もし普段使いしやすくてオールインワンのイヤホンを探しているなら、EarFun Free Pro 3をオススメしたい。
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