ついにGoogleが、自社開発チップTensorを搭載したPixel 6を発売した。
いままでのPixelシリーズもピュアAndroidを謳っていたもののチップは他社製品だったが、今回のPixel 6は自社チップ+付加価値モリモリの「マジモンのピュアAndoroid」。
ラインナップはPixel 6とPixel 6 Proの2機種で、両機種の価格差は4万円。
Pixel 6シリーズは、初のGoogle自社チップ搭載ということもあり、ガジェオタとしてはProモデルに飛びつきそうになった。しかし、よくよくスペックを見れば見るほど「Pixel 6でも十分なのでは?」と思いハゲそうになるくらい悩んだ。
そして出した俺の結論は、望遠がいらないなら7.5万円のPixel 6無印で十分というもの。
ということで、Pixel 6とPixel 6 Proを選ぶときの基準、良いところ・悪いところ、1か月近く使ってみての実際の使用感はどうなのかをレビューしていく。
- Antutuベンチマーク約70万点の高スペック
- iPhone 13 Proを凌ぐカメラ画質
- 6.4インチの大画面
- 独自の文字起こし機能がスゴイ
- ハイエンド機のスペックで価格は7.5万円
- 画面内指紋認証がゴミ
- フィルム選びが難しい
- 大画面ゆえの重量207gというヘビー級
- バグの宝庫というべきバグの多さ
Pixel 6の特徴
Google Pixel 6は、Google初の自社開発チップ(SoC)を搭載した初めてのスマホ。
これが一番の特徴ではあるんだけど、その自社開発チップがどのような特徴に結びついているか・他にどんな特徴があるのかは以下のとおり。
- Antutuベンチマーク約70万点の高スペック
- iPhone 13 Proを凌ぐカメラ画質
- 6.4インチの大画面
- 独自の文字起こし機能がスゴイ
- ハイエンド機のスペックで価格は7.5万円
- 画面内指紋認証がゴミ
- フィルム選びが難しい
- 大画面ゆえの重量207gというヘビー級
- バグの宝庫というべきバグの多さ
スペック
Pixel 6シリーズは、俺が買った「Pixel 6」と上位モデルの「Pixel 6 Pro」の2つがある。
先に言ってしまうと、両モデルに4万円差の価値の違いはないというのが俺の結論。
スペック表は以下のとおり。わずかな差も多いので、俺がとくに気になる違いのみを赤太字にした。
Pixel 6 | Pixel 6 Pro | |
ディスプレイ | 6.4インチ 有機EL フラットディスプレイ |
6.7 インチ 有機EL エッジディスプレイ |
リフレッシュレート | 90Hz | 120Hz |
CPU | Google Tensor | |
メモリ | 8GB | 12GB |
ストレージ | 128GB /256GB | |
バッテリー | 4,614mAh ワイヤレス充電 |
5,003mAh ワイヤレス充電 |
縦×横×厚さ (mm) |
158.6 x 74.8 x 8.9 | 163.9 x 75.9 x 8.9 |
重量 | 207g | 210g |
カメラ | 超広角 / 広角 | 超広角 / 広角 / 望遠 |
セキュリティ | 光学式指紋認証 | |
SIM | デュアル(物理SIM / eSIM) | |
5G | Sub 6 (ドコモ・楽天は後日提供) |
Sub6 / ミリ波 (ドコモ・楽天は後日提供) |
おサイフケータイ | ○ | |
防水・防塵 | IP68 | |
価格 | 74,800円~ | 116,600円~ |
大きな違いは3つだけ。
- フラット/エッジどちらのディスプレイか
- 望遠カメラの有無
- 4万円の価格差
こう見てもらうと意外と大差がないと思う人も多いだろう。俺としては望遠カメラがいらない人にはPixel 6無印をオススメする。
が、それ以外の人にとっては4万円の価格差で大いに悩むことになるので、悩みに悩みぬいてPixel6を選んだ俺がしっかりレビューするから見ていってほしい。
早く知りたい人は、この記事内のPixel 6とPixel 6 Proどっちを買うか?ポイントは3つを先に見てくれ。
Antutuベンチマークは約70万点、Geekbenchはシングルが優秀
Googleは、Pixel6シリーズの発売前に「Tensorチップはベンチマーク性能ではなく体験を重視した」とコメントをしていた。このことからチップ性能は大したことないんだろうなーというのが、市場予想だったが良い意味で予想を裏切った。
実際にみんな大好きAntutuベンチマークを回したところ、結果は69万点となかなかの高水準。最近のハイエンド機は70万点ちょい超えくらいのスコアなので、7万円台の端末として見れば大健闘。
それとは別に、Geekbench5も回してみた結果が以下のとおり。
Geekbenchもなかなかの水準。特にシングルコア性能がよく、約15万円のGalaxy S21 Ultra 5Gよりも上。マルチ作業は苦手なのかマルチスコアは他機種に比べて少し劣る感じ。もしかするとTensorチップの特性なのかもしれない。
とはいえ、比較対象になっているのはハイエンド機の中でもそうそうたるメンツ。ここまで性能が良ければ実用上気になるような差はない。
バッテリーは1日余裕で持つ
Pixel 6のバッテリーがどれくらい持つか「PCMark for Android」で計測したところ、バッテリー100%から20%になるまで約11時間56分だった。20%から0%までの時間も考えればだいたい連続使用で14時間30分くらいは持つ計算。
なお、テストは実際に使う環境に近づけるために、画面輝度80%・音量50%・4G通信・Bluetoothオンにして行っているので実使用でもこれくらいは使えるので安心してほしい。
Pixel 6はバッテリー持ちの良さをさほどPRしていなかったので、1日中ずっと十分使えるバッテリー持ちだったのは嬉しい誤算だった。
そして、Pixel 6はPixel Stand 第2世代を使うことで、有線充電と同じ速度でワイヤレス充電をすることができる。
Pixel Stand 第2世代のレビューも書いたので、Pixel Standを使うことで拡張される機能や充電の速さについてぜひ参考にしてほしい。
リフレッシュレートは120Hzあれば嬉しいけど、90Hzでも十分
リフレッシュレートが高いスマホは、画面をスクロールする時になめらかに動くようになり、いわゆる「ヌルヌル感」が増す(上の画像はインテルのリフレッシュレート解説のページから引用)。
用語解説:リフレッシュレートとは?
リフレッシュレートとは「画面が1秒間に何回書き換わるか?」を意味する用語。 単位はHz(ヘルツ)であらわされ、60Hzと書かれている場合は1秒間に60回画面が書き換わる画面であるということ。
スマホの画面ではパラパラ漫画と同じようなことが行われていて、1秒間に書き換わる画面の回数が増えれば増えるほどスクロール動作などが滑らかにみえる。
画面のリフレッシュレートを上げると以下のようなことがおきる。
このように、リフレッシュレートは高くすればするほど消費電力が増え、バッテリー持ちが悪くなる。なので、ヌルヌル感の代償としてどの程度バッテリーを持ちを諦めるのか、バランスが重要。
いままでのスマホは60Hzが主流だったが、近年は90Hzや120Hzのリフレッシュレートが主流になりつつある。
Pixel 6シリーズのリフレッシュレートの対応状況は以下のとおり。
リフレッシュレート | |
Pixel 6 | 90Hz(固定) |
Pixel 6 Pro | 120HZ(可変) |
Pixel 6 Proは近年主流になりつつある120Hzにしっかり対応。しかも、ハイエンドスマホらしくバッテリー持ちのことも考え、状況によって10~120Hzの間で最適化してくれる「可変式リフレッシュレート」に対応している。
一方、Pixel 6は90Hzの固定リフレッシュレート。いままでの主流の60Hzより滑らかにしつつ、かつ、バッテリー消費も抑えた数値。
リフレッシュレートは、2機種並べてじっくり見比べるなら120Hzのほうがキレイだが、個人的には90Hzでも十分だと思っている。というのも、YouTubeやスマホゲームが今の主流である60FPSから120FPSに対応するようになれば120Hzディスプレイが生きてくるが、現状だと120Hzの使い道がブラウジングやTwitterしかない。
外観はポップ
Pixelシリーズは、歴代ポップ路線が多かった。が、Pixel 6はその中でもかなりポップに振ってきたため、人によって「カッコいい!」「ダサい!」と賛否両論あるデザイン。
俺はなかなか見ないポップさがお気に入り。
このぶっといカメラバーとそれを挟むように配色されたツートンカラーもたまらない。俺が購入したのはストーミーブラックというラインナップの中では落ち着いた黒系だが、Proモデルのホワイトもグレーとのツートンカラーでなかなか魅力的。
スッキリとした側面デザイン
左側面にはボタン類はなし。SIMトレーのみ配置されている。カメラの高さによって傾斜がついているものの、 横一線に伸びるカメラデザインであるため、机に置きながら使ってもiPhone 13のようなグラつきはない。
右側面には上に電源ボタン、下に音量ボタンが配置されておりボタンはすべてこちら側に揃うスタイル。
下部には真ん中にUSB-Cポート、両サイドにスピーカーが配置されている。Pixel 6は無線充電に対応しているので、家でも会社でもほとんど無線充電器に置きっぱなし。ケーブルを刺すことはほぼない。
上部にはアンテナピクトとノイズキャンセリングマイクが配置されている。
サイズは大きい
Pixel 6は6.4インチ、Pixel 6 Proは6.7インチのディスプレイを備えているが、大画面化が進むスマホのなかでも大きい部類。俺の手は標準的かやや大きめくらいなんだけど、ケースがついている状態だと片手操作はギリギリといった感じ。
手が小さい人や女性は操作がキツイかもしれないが、画面が大きい=情報量が多いのでなにか調べ物でブラウジングする場合には効率的でよい。
ベゼルは太め
画像を見てのとおりではあるんだけど、Pixel 6は最近のハイエンド機にしてはベゼルが太い。上と左右はだいたいiPhoneのベゼルと同じ位の太さだからまだ許せるものの、下側はとくにベゼルが太めで正直かっこ悪い。
普段、ブラウジングをしたりTwitterをしたりLINEをする程度だとたいして気にならないけど、ふとしたタイミングで「太いなぁ」と感じる。画面のスタイリッシュさで言えば、圧倒的にPixel 6 Proの勝ち。
トップクラスのカメラ画質
Pixel 6の一番と言ってもいいほどの強みはカメラ画質がいいこと。そんなPixel 6のカメラ構成は以下のとおり。
5000万画素・1/1.31型カメラセンサーの広角カメラと1200万画素・1/2.86型センサーの超広角カメラの2眼構成。
そしてなによりスゴイのが広角カメラのセンサーサイズ。
いままでのPixelシリーズが広角カメラに貧弱な1/2.55インチセンサーだったのに対して、Pixel 6は1/1.31インチと超大型化。上の画像を見てもらえば分かるとおり、センサー面積が約4倍違う。1/1.31インチのセンサーサイズは、iPhone 13 Proの1/1.67インチよりもかなり大きい。
Pixel 6は大きなセンサーサイズとPixelシリーズ伝統のソフトウェア補正ゴリ押し画像処理も健在のため、広角カメラの画質はiPhone 13 Proよりも上。センサーも優秀・ソフトも優秀となれば、まさに鬼に金棒。
代わりにカメラ部の厚みもそれなりにある。が、 横一線に伸びるカメラデザインであるため、机に置きながら使ってもiPhone 13のようなグラつきはない。
ちなみに、センサーサイズは大きければ大きいほど取り込める光の量=情報量が増えるから画質に直結するから超重要。 この 1/1.31型というのは現状スマホに搭載されるセンサーサイズでは1インチサイズに次ぐ大きさ。
Pixel 7では更なる画質向上のために1インチセンサーを搭載することを期待。
作例(この項目はすべて撮って出し画像です)
今度は実際にPixel 6で撮影した写真を紹介していく。条件は以下のとおり。
- オート撮影&撮って出し
- スマホアプリやPhotoshop等での色調補正なし
- ブログにアップする関係でファイルサイズを約6%まで圧縮(i.e. 94%削減)
- 画像によってはトリミングあり
では、実際に撮った写真を紹介していく。
広角・超広角カメラはスマホトップクラスの画質
広角カメラで撮影した看板。圧縮画像でもわかるくらい解像感が高く細部までしっかり描写できている。ピントもバッチリ。
また、大型センサーの恩恵により、広角カメラにもかかわらず背景のボケ感も強めにでている。
今度は、一枚の画像内で明暗差の激しい場所を選んで撮影した。左半分は影になっており暗く、右半分は日光が当たって明るい上に青空も見えているという露出泣かせな状況。
にもかかわらず、HDR撮影とソフトウェア処理によって、白トビ・黒つぶれなく明暗しっかり描写できており、さすがGoogleのソフトウェア処理といった感じ。
さっきの写真と同じ位置から超広角0.7倍で撮影したもの。ほかのハイエンドAndroid機やiPhoneの超広角カメラが0.5倍撮影なのを考えると狭く・残念な画角。広大な風景を撮影するときは、超広角の画角の狭さに物足りなさを感じるだろう。
また、広角カメラほど明暗の差をしっかり描写しきれておらず、左半分もかなり明るい処理にされてしまっている。これは、センサーサイズの差によるもの。センサーサイズが大きいとダイナミックレンジが広く明暗差をしっかり捉えられるのだが、超広角カメラはセンサーサイズが小さいので描写力が劣る。
キレイな色味で描写してくれている。ただ、画像圧縮のせいかもしれないが、左上あたりの木の枝の質感がノッペリしている。
ポートレートモードは一眼レフいらず
ポートレートモードで撮影した「ほうじ茶ラテ」。撮影対象物にはバッチリとピントが合いつつ、背景はボケ感が強くとても好印象。ちなみに、ゴーストがでているのは逆光で撮影したから。
ポートレートモードでとくに驚いたのが、コップと背景の境界がソフトウェア側で完璧に認識できていること。これができないと、コップと背景の境界でにじみが出たり、ボケさせるべきでないところをボケさせるようなことが起きるんだけど、Pixel6ではそういったことが一切ない。
用語解説:ポートレートモードとは?
ポートレートモードとは、撮影対象物の背景をソフトウェア処理で無理やりボケさせることによって、あたかもフルサイズ一眼で撮影した写真のように見せるモートのこと。
そもそも、写真でボケ感を出すためには、①カメラのセンサーサイズが大きいこと、②F値が低く多くの光を取り込めるレンズであることが重要となる(その他にも要素はある)。しかし、スマホはセンサーサイズを大きくすることが難しい(現状の最大は1インチ)上に、レンズを大きくすることも困難でボケ感を作るには不利。
その不利な点をソフトウェア処理で解決している。
広角デジタル2倍ズームはギリ使える
広角カメラでの2倍デジタルズームの画像。コンテナなどはそれなりの解像感があるが、波のあたりは画像圧縮を考えてもズームなしに比べて画質が荒くなっている。影の当たっている側なので写りもパッとしない感じ。
先ほどの画像の逆サイドから撮影下写真。こちらは順光なのもあって2倍にしてはキレイな写り。
公園で順光で撮影したパターン。先ほどの埠頭と同じく、デジタルズームをしているのもあってズームなしに比べれば解像感が少し失われている。が、SNSでアップするには十分な画質。
デジタル4倍・最大の7倍ズームは記録用と割り切る
Pixel 6は最大7倍までズームできるが、4~7倍は正直なところ記録用かなという感じ。ブログ用に画像を圧縮しているからとか言い訳できないレベルでノッペリした画像になっている。
4倍以上のズームが必要であればPixel 6 Proを買う方がいい。俺は望遠カメラで月に数枚しか撮影しないので、望遠カメラのためだけに4万円の価値を感じることができなかったのでPixel 6にした。
動画性能はそこそこ
Pixel 6は静止画のカメラ画質もいいだけあって、動画もキレイに撮影できる。
が、YouTubeでPixel 6とiPhone 13の比較動画を見漁った限りは、動画性能はiPhone 13のほうが上。
とくに差が大きいと感じたのが手ブレ補正機能。iPhone 13は手持ち撮影なのに「ジンバル使っているのか!?」と思うくらいブレない。それに比べてPixel 6は歩くたびに画面が若干ブレる。
静止画ならPixel 6、動画ならiPhone 13といったところ。
Pixel 6ならではの機能は3つ
Google Tensorチップを搭載したことによって、Pixel 6は「音声認識能力」や「画像処理能力」がいままでに比べて進化したとのこと。
そして、そのTensorチップの強みを生かして、Pixel 6が独自対応している機能が以下の3つ。
- 文字起こし機能
- リアルタイム翻訳
- 消しゴムマジック
Tensorだから実現できたみたいな感じでGoogleはいっているけど、正直ソフトレベルで対応できるんじゃないの?っていうものもある。
が、現状はPixel 6シリーズ対応していないので、正真正銘の独自機能。
では、さっそく見ていく。
文字起こし機能は驚きの精度
Pixel 6だけが対応している3つの機能の中で俺が一番驚かされたのが「文字起こし機能」。文字起こし機能は、ボイスレコーダーアプリで録音した音声を認識して、自動で文字として書き起こしをしてくれる。
発言録作成やテープ起こしをやったことのある人、記者・インタビュアーや字幕をつけるYoutuberならわかってもらえると思うんだけど、録音した音声を聞いて文字に書き起こすというのはホントに大変な作業。Pixel 6はそんな大変な文字起こし作業を肩代わりしてくれる。
肝心の文字起こし機能の検出精度は、以下のような実感。
- 通常の会話→80~90%
- 認識されやすい語彙選びを心がけた場合→95%
さすがに手直しゼロというわけにはいかないものの、かなり高精度のため少しの手直しで大丈夫。
しかも、Pixel 6の文字起こし機能は、ボイスレコーダーだけではなくYouTubeなどの動画視聴時にも字幕表示機能として使える(上のGIF動画では著作権フリーの国内ニュース素材が見当たらなかったため海外ニュースを使用)。
字幕表示機能によって、海外のYouTubeレビュー動画にもカンタンにアクセスできるようになるので得られる情報幅が何倍にも増えることになる。
ちなみに、今後はPixel 6より前のシリーズでも文字起こし機能を使えるようになるとのこと。
リアルタイム翻訳の使いどころは謎
リアルタイム翻訳は、外国人と話すときにPixel 6が通訳をしてくれる機能。
俺 → Pixel 6 英 語 → アメリカ人
アメリカ人→ Pixel 6 日本語 → 俺
というような感じで通訳がいなくても、Pixel 6があるだけで俺は日本語ひとつで世界の人と交流できてしまう。俺のようなカタコト英語しか話せないような人の強い味方の機能。
と思ったんだけど、冷静になると海外はおろか国内旅行すら行かないし、外国人と話す機会が皆無の俺にとってはマジで使いどころ不明だった。実際、リアルタイム翻訳を試すことすらできていない。
出張でいろいろな国に行く人が英語も通じない現地の個人店に行く時には便利かと思う。
消しゴムマジックは今後の発展に期待
消しゴムマジックは、撮影した写真に写り込んだモノなかから、不要なものをGoogleのAIが判断して自動で消してくれる機能。Pixel 6独自の3つの機能の中では、俺のような内勤サラリーマンには一番使う機能。
厳密にはGoogleフォトに新たに搭載された機能であるものの、現状はPixel 6にのみ対応している機能であるため事実上Pixel 6の新機能といえる。
消しゴムマジックでは、Photoshopでやっていたような修正をスマホひとつで、カンタン操作でできるのがウリ。
具体的な手順は4ステップ。
- Googleフォトアプリを開く
- 編集したい写真で「編集」を押す
- ツールで「消しゴムマジック」を選択
- 消したいものを選ぶ・丸で囲って「完了」を押す
たったこれだけの操作で完成する。
次は実際にどんな感じに消えるかを紹介する。
まずはモノから。
これは俺が仕事用で愛用しているLogicool MX Master 3というマウス。こいつを消していく。
このマウスは自動で認識されなかったので、何を消したいのか認識させるために丸で囲う。
完了ボタンを押せばこのとおり。マウスを消しつつ、周辺の情報からマウスがあった位置の背景を予測・補完してくれる。
よく見ると、中心部の木目が不自然に滲んでいるものの、これだけ大きいものを消すとなるとPhotoshopでも同じようになる。小さいものであればもっとキレイに消せる。
2枚並べて見ると以下のような感じ。
右側の写真のマウスがあったであろう周辺の影も上手く処理しきれていない感があるものの、かなりキレイに消えている部類。
ただし、キレイに消えているのは背景が比較的単調な木目だから。
背景が複雑なパターンだと途端に違和感を覚えるような出来栄えになるので、公園で撮ったパターンを見ていく。
公園で多くの人が思い思いに過ごしているとこを撮った写真。
今回は消しゴムマジック側で消す対象=人物と認識して自動選択してくれた。
ワンタップで画面に写り込んだ人を消したくれたものの、人は消せても人影までは消せない。また、消した人の背後にあるだろう背景を上手く再現できておらず、不自然になっているところが散見される。
並べて見ると以下のような差。
写真に大きく写り込んだものを消すのはさすがに向いていないものの、写真の端に写った小さいものを消す程度には使えるかなという感想。
しかも、消しゴムマジックを使用した後は元画像から若干色味が変わっている。
いまの精度なら使わないけど、今後のソフトウェア処理能力の進化に期待。
画面内指紋認証はゴミ
Pixel 6シリーズはロック解除方式として指紋認証を採用している。コロナ禍以前であればiPhoneのような顔認証は使いやすかったが、今の時代はマスクをしていることも多いので指紋認証はもはや必須。
さすが俺たちのGoogle!世界イチの検索エンジンを抱えるだけあってユーザーのほしいものがわかってる!!!と思いきや、この指紋認証がとにかくストレスになる。はっきり言ってゴミ。
光学式の画面内指紋認証は精度がイマイチ
Pixel 6シリーズは画面内に指紋認証センサーを埋め込まれているので、画面下部にある指紋マークに指を置けばロック解除される。
採用されているのは「光学式」の指紋認証センサー。
光学式はコストが安いものの、認証がモッサリとよくいわれる。俺は少し不安を抱えつつも「まぁ天下のGoogleだし大丈夫だろ!」と思った。
が、残念なことにPixel 6の指紋センサーもご多分に漏れずモッサリ。しかも、モッサリでも解錠できるのは良い方で、2秒近くかかったり、そもそも指紋で解除できずにパスコードを打ち込むこともある。
体感の成功率は60%くらい。
一日に何十回も触る携帯だからこそ、コストがかかっても快適な指紋認証を搭載するのは大事なんだということを思い知らされた。
ちなみに、Googleはソフトウェアアップデートで指紋認証精度を改善したといっているが、俺個人の感想としては実感できていない。
フィルムが限定される
光学式は、 指に光を当てたときの「光の跳ね返りによる陰影差」を読み取ることによって認証を行う。これが思った以上に繊細で、フィルムを貼ると認証精度にガッツリ影響がでる(上記画像は『リカテック』さんの『スマートフォンの指紋認証の仕組み・原理をやさしく解説』から引用させてもらいました)。
したがって、選べるフィルムの選択肢はとても少なくなる。ガラスフィルムは基本的にNGで、TPUフィルムはモノによって使えたり使えなかったりするとのこと。
あまりにフィルム選びが難しいからか、Google公式が適合フィルムのメーカー認定をだす始末。
薄めのTPUフィルムは使える可能性も高いようだが、試してみないとわからない。俺は画面に傷がついても気にしないタイプなので裸のまま使う。
日光の下だと更に精度が落ちる
ここまでPixel 6の指紋認証精度が悪いことをこき下ろしてきたが、残念なことに日光の下で指紋認証をしようとすると更に精度が落ちる。
当初は、俺の気のせいなのかと思ってTwitterで調べると同様の症状の人が多数。
これはおそらく指紋認証方式の問題。
繰り返しの説明にはなるが、光学式指紋認証は、指に光を当てたときの「光の跳ね返りによる陰影差」を読み取ることによって認証を行う。
が、日光の下で指紋認証をしようとすると、太陽光が指紋横のディスプレイから漏れ入ってディスプレイ内で乱反射してしまう。この乱反射のせいで正常な陰影読み取ることができずに、結果として指紋認証が失敗する・・・というのが俺の仮説。
実際にGoogleの公式サポートでも、日光の下でのロック解除は正常に読み込まれにくいことが明記されている。
Pixel 6とPixel 6 Proどっちを買うか?ポイントは3つ
Pixel 6とPixel 6 Proはサイズ感・スペックはほぼ同じな一方で、ディスプレイだったりカメラだったり日常使いの部分で大きな差がある。とはいえ、価格差が4万円ということもあり「じゃあProにしよう!」ともなかなか決断しにくく悩む。
俺も購入するときはハゲるくらい悩んだ
Pixel 6とPixel 6 Proのどちらを買うかで重要なポイントは以下の3つ。
- フラット/エッジどちらのディスプレイが好きか?
- 望遠カメラは必要か?
- 価格差は4万円。上2つに4万円の価値を見いだせるか?
俺はこの3つのポイントを考えた時に、フラットディスプレイが好きだし、望遠カメラはいらないし確実にプラス4万円を払う価値はないなと思ってPixel 6にした。
望遠がいらないならPixel 6。これが間違いない。
なぜそう思ったのかを解説していく。
Pixel 6が採用しているフラットディスプレイのほうが使いやすい
趣味の問題ではあると思うが、俺が過去にエッジディスプレイとフラットディスレプレイ両方とも使った経験からいうと、フラットディスプレイの方が使いやすかった。
というのも、エッジディスプレイは画面の端が曲面になっており見栄えがいい一方で、スマートフォンを握ってる時に手の平が当たって誤認識をしたり、ケースを付けたときに画面端スワイプの操作感が損なわれたりする。
それ以外にも、エッジディスプレイで動画をみると画面端の像が歪むのが気になった。
その上、エッジディスプレイは、独特の曲線美のせいで保護フィルムを選びではTPUを選ぶことができずに、ガラスフィルム一択になる。Pixel 6 Proにガラスフィルムを貼ると指紋認証が使えなくなるというトラップ付きなので要注意。
結局は、多くのスマホで採用しているフラットディスプレイの方が使いやすいというのが俺の結論。
望遠カメラが要らなければPixel 6一択
Pixel 6とPixel 6 Proどっちを買うか悩む最大の要因が望遠レンズ。ただ、この悩みについては次の質問でだいたい解決する。
あなたは、望遠カメラで月に何枚写真を撮りますか?
ぜひカメラロールを確認してみてほしい。望遠カメラはなんだか必要な気がするものの、実際に望遠カメラで撮影した写真は意外と少ないと思う。多少ズームしているなと思った画像が2倍ズームくらいとかザラ。
実際に俺がカメラロールを見たところ、望遠レンズを使っているのは月に3~4枚程度だった。
望遠カメラのためだけにPixel 6 Proを購入し、2年間使用・月4枚望遠カメラで撮影した場合の1枚あたりの撮影コストは以下のとおり。
望遠写真4枚×24か月=96枚
価格差4万円÷96枚=約416円/枚
あれば嬉しい望遠カメラだが、たまに使う程度のためにここまで高いコストは掛けられないというのが正直なところ。しかも、俺の場合は1年以内に別のスマホに乗り換えるつもりなので、そう考えると望遠写真1枚あたり832円くらいになる。高い。
しかも、Pixel6 Proの望遠カメラは4倍ズームだから、ホントに遠くのモノを撮りたいときには使えるけど「広角レンズよりも少し寄りたいな」程度のときには結局2倍デジタルズームを使うことになってしまうので使いどころが難しい。
とはいえ、圧縮効果がバリバリに効いた「望遠」でしか撮れない写真を撮りたいという人はPixel 6 Proがいいだろう。
俺はこういうキレイな画像に憧れつつも、そもそもオシャレな撮影スポットに行くこともほとんどないのでPixel 6で満足している。
5Gミリ波の対応はProモデルのみだがどうでもいい
世の中のほとんどのスマホが5Gを謳っているが、5GにはSub6とミリ波の2つの規格がある。この2つの規格をめちゃめちゃザックリと解説すると
- Sub6 ・・・4Gがちょっと早くなったもの。実際に飛んでいる5G電波はコレ
- ミリ波 ・・・CMで宣伝される高速通信はこっち。速いけど全然電波飛んでいない
といった感じ。
そしてPixel6シリーズの5Gの対応状況は以下のとおり
Pixel 6 | Pixel 6 Pro | |
Sub6 | ○ | ○ |
ミリ波 | × | ○ |
ProモデルはSub6とミリ波のどちらにも対応しているけど、無印モデルはSub6のみ対応となっている。が、スマホ全般に言えることだけど、ミリ波に対応していなくても全く気にする必要はない。
というのも、端末の対応云々の前にそもそもミリ波の電波は全然飛んでいない。比較的5G対応の進んでいるdocomoですらこんな感じ。
映画『もののけ姫』に出てくるアシタカの腕のアザのような紫色のマダラ模様が5G Sub6対応エリアで、ミリ波なんてぜんっっっぜん飛んでない。むしろ飛んでなさすぎるせいで地図上もほとんど見えないし、docomoもミリ波エリアとSub6エリアを紛らわしい色にして対応エリアの狭さを誤魔化している。
ミリ波については、いくら電波を受ける機能があってもそもそも電波が飛んでいなければ受けようがないので、5Gミリ波のために4万円多く払ってPixel6 Proを選ぶ必要はない。
まとめ:7.5万円で手に入るワクワクできるハイエンド機
ここまでPixel 6の良いところ・悪いところを紹介してきた。
強烈な弱点ポイントとして指紋認証の精度があるものの、カメラ性能は抜群だし7.5万円にしては破格のチップ性能なので万人にオススメできるスマホに仕上がっている。
しかも、弱点の指紋認証は、今後のアプデで改善するとのアナウンスもされている。期待。
最後に、改めてPixel 6の良いところと悪いところを振り返ると以下のとおり。
・Antutuベンチマーク約70万点の高スペック
・iPhone 13 Proを凌ぐカメラ画質
・6.4インチの大画面
・独自の文字起こし機能がスゴイ
・ハイエンド機のスペックで価格は7.5万円
・画面内指紋認証がゴミ
・フィルム選びが難しい
・大画面ゆえの重量207gというヘビー級
・バグの宝庫というべきバグの多さ
Pixel 6シリーズを購入しようか悩んでいる人には、改めてホントにオススメできるスマホであると伝えたい。
また、Pixel 6とPixel 6 Proで悩んでいる人には「望遠カメラが必要かどうか?」を軸に考えてもらえればと思う。
望遠をあまり使わない俺はPixel 6を購入して満足している。
このレビューが購入の参考になれば幸いだ。
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